うどん二郎 備忘録

長めの文章はここに上げます。メモ書き程度。

『ガタカ』、あるいは「偶然の子どもたち」

今日健康診断受けてたらこの映画思い出しました。前書いた(とっ散らかった)メモです。

(追)終末部、二項の完璧な対比と批評してやろうとする者の眼を涙でいっぱいにしてしまうような悲しさ美しさ! 片方が消え、片方が残る。しかしその残された方を、観る者は「本当に残ったといえるのか?」と問わずにはいられない。悲願の目的を達成した男はそして、母なる「塵」の世界へ帰っていく。2017/3/6

(追)必然性に支配された世界における偶然性とはなにか。
徐々に遺伝子操作が可能になりつつあるなか、かりに映画の裏テーマが「必然性(遺伝子操作)に支えられた世界で、偶然性の未来はいかにつくられるのか」だったとすれば、果たしてこの世界で、優れた子だから愛するのではなく、偶然にもこの子が生まれた、その奇跡に感謝して愛するというような道(回路)はいかに用意されるのか?
ユージーンの両親は前者だったが、ヴィンセントの親は後者だった。けれども彼は(偶然にも)不能になったゆえに(偶然にも)劣った遺伝子をもったヴィンセントに惹かれ才能を託し、役目を終えて死ぬ。これは本当の兄弟関係に似ている。老いた兄が先に死に、弟がそれを追う。

言葉はあまり交わされないが、兄弟関係に似た「なんとなく」の意思疎通があっただろう。非言語的なやりとり。現実にはその手の意思疎通はあまりうまくいくことはない。にもかかわらず、彼らの間では(偶然にも)うまくいった。
稀有なこのやりとりを、何度も思い出したい。
2017/4/22